歴代会長

会長ごあいさつ

第48代 会長(2025年~2026年) 須貝 威(慶應義塾大学名誉教授)

第48代本会会長を拝命いたしました、須貝 威です。任期の2年間、皆様方のご協力を得て、有機合成化学協会の発展に尽くす所存です。
有機合成化学協会は第二次世界大戦中「有機合成化学と工業の発展」を掲げ発足しました。産官学軍、分野や立場の垣根を超え、知恵と技を結集交流し、戦後の復興期、高度成長期、石油危機や金融危機、コロナパンデミックなどの社会危機を越え、有機化学の新しい理論、反応、合成、バイオ、そして基幹化学品、新材料、医農薬などの研究開発、生産を牽引し、環境分野、グリーンケミストリーに至るまで世界的なイノベーションをもたらして参りました。
個人会員2963名、学生会員700名、永年会員・名誉会員224名、法人会員209法人、団体会員3団体により構成されています(2024年末)。
本協会はさまざまな学術、講習、啓発や人材育成事業に取り組んで参りました。本部•支部の最先端の研究成果を発表する場としてシンポジウムを季節ごと開催しています。産学交流の場としては新春特別フォーラムを主催しています。さらに、有機合成の実験や研究に日々いそしむ学生院生が将来像を見えるよう、企業の若手研究者とオンライン意見交換会を企画しています。近年は「AIと有機合成化学」研究部会、「ニューモダリティと有機合成化学」研究部会、若手研究者同士の研究交流など新しい方向も積極果敢に攻めています。
先端の研究成果(総合論文•総説)や研究の方向性•潮流•オピニオンを「有機合成化学協会誌(月刊)」に収載しています。年1回の英文号、残りは11回を和文誌の形で、分野横断的な情報や新しいヒントを得て活用できます。会員は無料で購読でき、また過去に遡及し、電子情報で閲覧可能です。学生会員には「電子版」アクセス権のみとする年会費ディスカウントのオプションも用意しています。長年の精力的な活動により、勃興期から最新年度にいたる産学の有機合成化学の成果がアーカイブされています。
さらに、有機合成化学を基盤とするすぐれた学術・技術を顕彰し、研究を奨励する活動を大切にしてきました。有機合成化学協会賞(学術的、技術的)や、若手の研究成果に対する奨励賞を設けております。独自の奨励賞を授けている支部もあり、また、本部支部問わず、優れた研究発表を積極的に表彰しています。
それらに加え産学連携に大きな基盤を持つ本協会の特徴として、産業界、法人会員の多大なるご助力により、野依賞、Mukaiyama awardで国際的に特筆する有機合成化学者を表彰しています。また現役の最前線トップ研究者の優れた成果に対する企業冠賞、若手の研究プロポーザルに対し研究費を提供する、研究企画賞などでも法人会員のお力をいただき、結果として人的交流がさらに高まっています。
本協会は2023年夏、創立80周年記念国際シンポジウムおよび記念出版を行い、有機合成化学セミナーも40回を数えることができました。しかし、協会誌2025年2月号の巻頭言で、東北大の上田実先生がおっしゃった「有機合成化学は、たこつぼ化してはいけない」は大きな警鐘でございます。決して自己満足せず、周辺分野、全くの異分野と相補的•相乗的な協働や創発を追求します。「協会構成員の年代、立場、ジェンダー、分野の多様性」を重視し、前会長のもと理事会で約20年後、創立100年に向けた方向性を徹底的に議論しました。本年度以降、その方向性の実現と、新しい魅力の創出•発信に具体的に踏み出すことが大きなタスクです。個人•法人会員数の減少に伴い、会費収入も漸減しており、継続性の視点から、協会財政•運営のさらなる効率化•健全化にも励みます。
本会の活力の源は全国支部、そしてあらゆる会員の皆様の活動にございます。これからもご指導ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。

第48代 会長  須 貝 威

初代よりの歴代会長
氏名 所属 年度
48 須貝 威 慶應義塾大学名誉教授 2025~2026
47 生頼 一彦 日産化学(株) 2023~2024
46 秋山 隆彦 学習院大学 2021~2022
45 諫山 滋 三井化学(株) 2019~2020
44 吉田 潤一 鈴鹿工業高等専門学校 2017~2018
43 佐藤 幸蔵 (株)ナノイノベーション研究所 2015~2016
42 鈴木 啓介 東京工業大学理学院 2013~2014
41 伊関 克彦 東レ(株) 2011~2012
40 福山 透 東京大学大学院薬学系研究科 2009~2010
39 迫田 良三 日産化学工業(株) 2007~2008
38 中井 武 早稲田大学理工学総合研究センター 2005~2006
37 平岡 哲夫 三共有機合成(株) 2003~2004
36 村井 眞二 大阪大学大学院工学研究科 2001~2002
35 甲斐 學 ダイセル化学工業(株) 1999~2000
34 野依 良治 名古屋大学大学院理学研究科 1997~1998
33 浦 康一 日産化学工業(株) 1995~1996
32 森 謙治 東京大学農学部 1993~1994
31 岸田 有吉 三共(株) 1991~1992
30 向山 光昭 東京理科大学理学部 1989~1990
29 竹西 忠男 味の素(株) 1987~1988
28 野崎 一 京都大学工学部 1985~1986
27 大塚 時雄 住友化学工業(株) 1983~1984
26 亀谷 哲治 東北大学薬学部 1981~1982
25 太田 暢人 三菱油化(株) 1979~1980
24 石井 義郎 名古屋大学工学部 1977~1978
23 阿部 一男 日産化学工業(株) 1975~1976
22 岩倉 義男 東京大学工学部 1973~1974
21 加藤 辨三郎 協和発酵工業(株) 1972
20 宍戸 圭一 京都大学工学部 1970~1971
19 星野 敏雄 東京工業大学 1969
18 神原 周 東京工業大学 1968
17 秋吉 三郎 帝人(株) 1967
16 斯波 忠夫 東京工業大学 1966
15 星野 孝平 東洋レーヨン(株) 1965
14 梅沢 純夫 慶應義塾大学工学部 1964
13 折戸 勇 信越化学工業(株) 1963
12 安東 新午 東京大学工学部 1962
11 川崎 京市 日本合成ゴム(株) 1961
10 永井 芳男 東京大学生産技術研究所 1960
9 青山 跡治郎 保土谷化学工業(株) 1959
8 石村 幸四郎 東京工業試験所 1958
7 藤木 経明 三菱化成工業(株) 1957
6 林 茂助 東京工業大学 1956
5 柴田 勝太郎 東洋高圧工業(株) 1955
4 牧 鋭夫 東京大学工学部 1954
3 黒田 泰造 日本製鐵(株) 1948~1953
2 石川 一郎 日産化学工業(株) 1944~1947
1 真島 利行 大阪帝国大学理学部 1942~1943
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